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情報入手の方法は、年上の大人(親、祖母)から情報を得ることが、伝統医学でも最近の民間療法でも頻度が多く,ついで重要なのはテレビである。テレビは主に新しい民間療法の情報を入手する手段となっている。利用している民間療法が多い人は多様な入手方法を持っているようだが、1つの民間療法につき複数経路で情報を得ることは少ないようである。1経路からの情報では確認・効果の裏付けには不十分ではないかと考えられる。知人・友人からの情報入手が少なかったのは意外であった。民間療法の利用頻度は毎日利用するか、健康問題が生じたときに一時的に利用するかのいずれかに別れる。この結果から民間療法は急性の健康問題への対処方法としての役割が大きいことが示唆された。
民間療法の効果と満足との関係は、効果があると自分が評価すれば満足するというはっきりした結果となった。効果と信頼との関係も似たような傾向をしめしたが、前者よりあいまいで、満足度ほどははっきりしていない。施行者の「信頼」には効果以外の要因があることが推測される。民間療法にかける経費は月額3000円以下の少額の者のみであったが、回答者の中に高齢者がいないため、高齢者の傾向は不明である。

 

調査前の作業仮説の裏付けについては回答率があまりに低値のため、はっきりした結果を出すことはできなかったが、傾向として、2)に挙げた日常の健康問題はかなりの頻度で民間療法で完結している、4)の一般的にセルフケアは費用の面で医療機関の医療より少なくすむ、3)の利用者自身が判定した治療効果や患者の満足度や信頼度については民間療法が有効と評価されている、という点についてはほぼ仮説に沿った結果となった。しかし、1)の民間療法の利用や方法には年代による差があり、高齢者ほどセルフケアを利用する傾向がある、という仮説はどちらかというと否定的な結果であった。1)の医療機関受診の頻度は加齢と共に上昇する、4)の民間療法も患者の病状や方法によってはより高額となる、の2点については評価できなかった。5)の民間療法の副反応、副作用については、「効果がなかった」という回答のみで報告はなかったが、副反応、副作用はそもそも発生率が非常に低いものであり、この少数例の回答のみで副作用、副反応がないことを示唆する根拠にはならない。

 

 

 

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